【厳冬期】燕岳 年越し登山2017年1月17日

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今年の年越しは山で過ごしてきました。またまた燕岳です。
まだまだ雪の残る5月のゴールデンウィークに登った事があります。

 

北アルプス 燕岳(残雪期)

 

そのときにこの山がとても好きになってしまったのです。燕山荘から見る燕岳はとても美しい形をしていて、槍ヶ岳の最高の展望所でもある。正面には裏銀座の山々が壁のように立ち並ぶ。そんな景色に大変感動したものでした。また、日本トップクラスの人気を誇る燕山荘。サービスが大変素晴らしくて山の上とは思えない快適さでした。

 

それからというもの、是非年越しをこの山で過ごしたいと思って過ごしてきました。残念ながら宿の混み具合から山の上で年越しという日程にはできませんでしたが、元旦に燕岳に登れる日程だったので良かったです。

 

雪のある時期に一回登っていて、コースの感じは大体知っていたので不安は一切なく、楽しみな気持ちでいっぱいでした。

 

「北アルプスの女王」と呼ばれる燕岳ですが、厳冬期の北アルプスの入門の山として知られています。年末年始限定で山小屋が営業しているため、テン泊装備なしで登れる、日本アルプスの中では数少ない山です。

 

「入門」と言いましたが、それは北アルプスの入門というだけの話で、だれでも楽に登れるというわけではないです。

 

 

ルート

今回の行程は3日間。おそらくこの時期の燕岳登山の最もメジャーな構成です。
春や夏は中房温泉の登山口から登れますが、冬季は登山口までの林道が通行止めになっているため、約13km手前の宮城ゲートから徒歩で向かう必要があります。

 

1日目:宮城ゲートからひたすら林道を歩き中房温泉で宿泊。
2日目:中房温泉から燕山荘へ、その後燕岳山頂までピストンし、燕山荘で宿泊します。
3日目:燕山荘から一気に宮城ゲートまでもどります。

 

まず宮城ゲートから中房温泉までの林道ですが、基本舗装路です。かなり凍結している部分があるので、転倒に注意が必要です。あと、結構登ります。

 

中房温泉から燕山荘までは、登山口付近は雪は少なかったのですが、第一ベンチ過ぎるあたりからは安定して雪が出てきます。アイゼンつけるのは第3ベンチ以降で良いと思います。

 

滑落の心配がある個所は皆無です。歩行技術的にも難しいところは一切ないです。初めてアイゼン、ピッケル使う人でも十分登れます。 北アルプス3大急登とか言われてますが、大したことないです。笑

 

ポイントとしては稜線の直前の合戦小屋までで汗をかかないことです。樹林帯で汗をかいて強い風の吹く稜線に出ると一気に体温が下がって低体温症になる恐れがあります。

 

厳冬期装備で2泊3日歩く体力が必要な事と、積雪期ならではの歩き方の基本を守って登る事が求められるので、そういった意味では山に慣れてないと登るのが難しいとも言えるかもしれないです。

 

 

レポート

 

大晦日。天気は晴天。宮城ゲートすばの駐車場はいっぱいでした。
夏はバスで簡単にたどり着く登山口も、今日は4時間ほどかけて歩きます。

 

 

最初2kmほどは雪のない舗装路です。硬い重登山靴で歩くと足が疲れるやつです・・・

僕はなぜかサンダルで歩いていました 笑

 

 

最初の発電所を過ぎた橋から雪道になります。舗装路に薄く雪が積もっていて、場所によっては凍結していてツルッツルです。

 

 

 

立派なつららがたくさん。
僕は千葉の房総半島で育ったので、家の近くでつららができるなんてことは滅多にありませんでした。

だからこういうのを見るとちょっと興奮してしまいます!

 

 

こんなに太くて大きいのもありました。

 

 

つらら以外は特に景色がいいというわけでもないので淡々と歩きます。
前回バスで通った時はこの辺寝てたので記憶がありません。

 

 

中房温泉までの距離表示に一喜一憂。ありがたいのかありがたくないのか・・・

 

 

とにかく歩きまくって中房温泉到着!ブログで書くと一瞬だw
ここは一応、「旅館」ではありますが、客室の雰囲気やご飯は山小屋です。
でも、客室は個室だったし、テレビもあるし温泉にも入れるので、山小屋に泊まるつもりで行けばちょっと得した気分になれると思います。

 

到着したらすぐに焼き肉パーティー!
今回は合計600gの肉を担いできてます。山で肉を食べるってだけでも最高なんですが、氷点下の気温のなかで温かい焼肉なんてもう至極の時です!

 

温泉に入ってちょっと休んだ後に夕食。「山小屋の夕食」といった感じですが、今日は大晦日。年越しそばが振る舞われました。

スタッフの方から登山道の様子や天気のアナウンスがある。山の上では少し降雪があったようだが、ラッセルの必要はないらしい。どうやら、明日は山の上から百数十人が下山してくるらしい・・・

 

夕食後は紅白でも見ようかと思ってたんですが、この日いつものように寝不足だったため、7時半くらいには寝てしまいました。

 

翌朝、天気は晴れ!・・・だが山の上には雲が。なんとか、自分が上にあがる頃にはすっきり晴れてほしい。

 

樹林帯歩きからスタート。実は燕岳は一番最初の登りが一番辛い気がするw

 

初日の出の光を浴びながら登ります。山の上で見たかったなー

 

燕岳の登山道には、第一ベンチ、第二ベンチ・・・というチェックポイントがちょうどいい感覚で作られていて、ペースをとてもつかみやすいです。

 

 

第二ベンチ

 

第三ベンチ

 

 

富士見ベンチをすぎると少しずつ景色が良くなってきます。ここからが楽しいところ!

 

 

稜線がお目見え。真っ白だー!アルプスの山に来た感が出てきたー!

 

 

合戦小屋に到着。
合戦小屋は冬季は閉鎖中。というか埋まってますw

 

合戦小屋は夏はスイカが食べられることで有名ですよね。

 

ここまでくると稜線はすぐそこです。

 

 

 

稜線まではちょっと急な登りになります。でもでも・・・

 

 

横からは槍ヶ岳が励ましてくれるのだ!!!
まぁでも実際のところは槍ヶ岳に見とれちゃって先に進まないんですけどね。

 

 

合戦の頭に出て稜線を歩く!すっきり晴れてる!最高です!

 


雪と影の境界がくっきり。綺麗だ・・・

 

 

前回来たときは超強風が吹いて飛ばされるかと思ったこの稜線ですが、今日はとても穏やか。まさかこんなに風が無いとは思いませんでした。

 

 

 

最後の急登を終えると燕山荘です!おつかれさまでしたー

この燕山荘からの景色も大変素敵なんです。

 

 

もう大興奮!何度見てもこの景色はいいですね。

 

 

女王様と再会。今日は前回よりも少し化粧が濃いようです。

燕山荘の受付を済ませ、不要な荷物を置いたら燕岳山頂へ行きます。

 

 

厳冬期特有の光景、シュカブラ。強い風が雪を削って波打つような模様ができる。

 

 

イルカ岩と槍ヶ岳のツーショット

 

 

 

 

 

雪で大喜びして走り回る僕。
ところでこの全身真っ赤なのクソダサイから早く止めたいw

 

風が強くて雪煙が舞う。

 

 

燕岳登頂!2763m!

 

 

今回のパートナーと槍ヶ岳をバックに。

 

 

燕山荘に戻る。
さすがは燕山荘。こういう楽しい山小屋にしようという心意気がとてもいい。
ちなみに餅つきは時間の関係で参加できませんでした・・・

 

 

夕日が沈んで槍ヶ岳のシルエットが浮かぶ。

 

 

燕山荘の夕食。なんか、めっちゃ豪華だぞ!?なぜか麓の中房温泉の飯より豪華だ・・・
しかも、これにプラスして肉じゃがまであったし、元旦サービスで日本酒までついてきた。

すごいぞ燕山荘!!!

ご飯も味噌汁もお代わりし放題。

 

夕食後は赤沼オーナーの山の話を聞きます。
結構内容忘れてしまったのですが、覚えてる限り話の内容としては以下のような感じです。

 

・燕岳の自然
植物やライチョウについて
・燕岳(厳冬期登山)の登り方
表銀座は世界一美しい縦走路
冬は汗のかきすぎによる低体温症に十分注意する事
子供といっしょに登るツアーやってます
・燕岳の気候
北アルプスの他の山に比べて比較的安定している
温暖化の影響

 

こんなような話を、スライドショーで写真を見つつ、オーナーの経験や昔の話を交えながら語ってくれます。その中でも印象に残っているのは「山にくるとプラス思考になれる」という話でした。

正月恒例の遭難事故のニュース、「過酷な環境にわざわざ行くなんてどうかしてる」とよく言われます。確かにその通りだと僕も思います。でも、僕は山に登ります。それは、「頂上についたら素晴らしい景色が待っているに違いない」とか、基本的にいい事しか考えていないからです。(もちろん、それを実現するためにリスクマネジメントはします)

こういう気持ちを持っていると、悪天候で苦行のような二度と行きたくないと思う参考があったとしても、また次の週には登りたいと思うのだと認識させられました。そういう気持ちにさせる魅力が山にはあるという事です。

これは自転車ツーリングにも全く同じことが言えると思います。人からは「なぜわざわざ自転車で行くのか」と言われるけど、それはやはり自転車旅ならではの魅力を楽しみたいからなんです。

こういうポジティブな思考を持ってるところが自分の長所なのかなーと話聞きながら思ってました。問題はそれを趣味以外に生かせるかどうかなのだけど・・・

さぁ、夜はまた写真撮影。こんなに澄んだ夜空の日に写真撮影をしない手はない。

 

 

裏銀座の山。空との境界が明るく光ってるのは山の向こうの飛騨の町の明かりが届いているからだそうで。とてもびっくり。

 

 

 

小屋からは安曇野の夜景が広がっている。「宝石箱をひっくり返したような」という比喩がまさに当てはまるような大変綺麗な夜景だった。

なんて写真撮りまくってると気づいたら小屋の消灯時間を過ぎてました。
寝床で写真を見て一日を振り返りながら眠りにつく。

 

 

翌朝、1月2日。ご来光を期待したが雲がかかって見えず・・・
どうやら昨日の初日の出も吹雪で見れなかったようです。山で綺麗な日の出を見るのは簡単じゃないなー

この日は宮城ゲートまで下らなければいけないので、日の出を見終わったら準備して下山を開始します。

 

 

最後に名残を惜しんで写真撮影。何度槍ヶ岳の写真を撮ったことか・・・

 

 

 

燕山荘の正月ツアーの人たちが先行していました。30人弱いたかな?かなりの大所帯です。

 

 

あっという間に樹林帯まで下る。雪山の下山は本当に早い。

 

 

登りにかけた時間の半分くらいで中房温泉まで下ってきました。
しかし、ここから地獄の林道歩き13km・・・

 

 

 

心を無にして足を前後に動かすマシーンとなって歩く。下山のときの舗装路ってほんとツラいんですよね・・・

 

 

無事に宮城ゲート到着!これにて厳冬期の燕岳登山終了!

 

まとめ

2回目の燕岳でしたが、前回の残雪期の頃とはまた別の表情を見れて、とても良かったです。やっぱり、厳冬期の方が山に迫力があります。厳しい山ほど綺麗に見えるものだなーと思いました。

 

あとは、前回来た時よりも体力の消耗が大きかった気がします。理由は3つ考えられます。

 

1つ目は荷物が重かったから。厳冬期2泊ともなると、行動食やお湯を入れる水筒、調理道具で夏のテン泊以上の重さになります。
2つ目は単純に移動距離が長いから。
3つ目は気温が低く、体温を作るのにエネルギーを使うから。多分。

 

残雪期の頃と歩きやすさ自体はそんなに差はなかったと思うので、やっぱり厳冬期特有の原因で体力を消耗した気がします。
厳冬期登山を極めるには、まずは体力づくりだ・・・

 

今年の登り初めも終了。やっぱり北アルプスの景色はいいですね。
厳冬期の登山はまだ大きなステップアップはできないので、今シーズンで練習をたくさんしたいと思います。

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