宮之浦岳 永田岳2015年11月19日

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またまた行ってきてしまいました。屋久島。

ストレスの溜まる毎日、募る旅への思い。そんな中、4区間飛行機を無料で乗れるチートを使える機会が巡ってきたので飛行機のチケットをとり、その一週間後には屋久島に飛んでいました。

今回目指すは屋久島最高峰にして九州地方最高峰 宮之浦岳(1,936m)とそれに次ぐ高峰である永田岳(1,886m)です。

 屋久島は去年にも訪れています↓

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屋久島 白谷雲水郷・縄文杉 
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前回は定番の縄文杉と白谷雲水郷に行ったのですが、山に登っておきながらピークを踏んでいないというのがどうも気になっていて・・・
宮之浦岳をネットで調べていると、それはそれは素晴らしい景色で。これに行くためにもう一度屋久島を訪れようと思っていました。
 

今回のコースについて 

(1)技術的難易度は全然高くない
宮之浦岳は実際登ってみた感じ、技術的には全然難しい山ではありませんでした。ロープ場が3つくらいありますが、他は道もわかりやすいし木道や階段がよく整備されていて歩きやすいです。

しかし、次の理由から山の経験がない人でもすんなり登れるかというと、そうでもないと思います。

(2)高確率で雨天、長い行動時間

屋久島は一か月に35日雨が降るといわれています。要はめちゃくちゃ雨が多いということですね。雨が降るのが普通と考えたほうがいいでしょう。

淀川登山口からのルートは最短とはいえ、宮之浦岳だけのピストンでも10時間くらいの行動時間になります。悪天候でも長時間歩ける体力と装備、計画力とリスクマネジメントが必要であると思います。

慣れない人はガイドを雇って登るのが良いと思います。屋久島は普通の観光客も縄文杉に行ったりするので山岳ガイドがたくさんいます。流石ガイドさんたちは話も楽しくて屋久島の事をたくさん知ることができます。(去年ガイドつけて登山したけど楽しかった)
って、かく言う僕も初心者なので偉そうなこと言えないんですけどね(笑)
 今回のルートです↓
・一日目
淀川登山口⇒淀川小屋
・二日目
淀川小屋⇒花之江河⇒投石平⇒宮之浦岳⇒永田岳⇒宮之浦岳⇒投石平⇒花之江河⇒淀川小屋⇒淀川登山口
淀川登山口から宮之浦岳、その先の永田岳まで足を延ばしてピストンです。
本当は淀川小屋でテント泊をする予定でしたが、雨のおかげで小屋泊になりました。テントはただの重りになりました・・・
二日目だけGPSのデータログをとりました↓

 

歩行距離は16.2km、行動時間は12時間40分
テント泊装備で12時間以上の長時間は流石につかれましたね・・・ちなみに地図のコースタイムは11時間50分くらいです。
永田岳までピストンする方はそれなりに覚悟しておきましょうw

1日目

金曜日の夜に羽田空港に移動。お金がないので宿には泊まれません。国際線ターミナルのベンチで一泊。
国際線ターミナルはかなり寝心地いいですよw去年屋久島に行ったときも帰りにここに泊まったっけなぁ・・・
耳栓持っていけばそれなりに快適に寝られます。道の駅のベンチで寝たりした事考えたら余裕です。

空港内の無料循環バスで第一ターミナルへ移動。6:20分発、鹿児島行きの飛行機へ乗ります。

鹿児島空港で屋久島行の飛行機へ乗り継ぎ。当日は雨の予報でしたが、少しだけ晴れ間が!

プロペラ機で飛ぶこと30分。屋久島空港へ到着。

ここでも晴れ間が!これは運がいい!

・・・と思いましたけど、そんなうまい話は無く。レンタカーを借りて走っていると普通に雨が降っていました。山間部に向かうにつれ、雨はより一層強くなる。

ガス缶など必要なものを買いに行ったのち、車を走らせること1.5時間。

淀川登山口に到着!

時刻は13:40、ばっちり雨が降ってます。この日は淀川小屋まで40分くらい歩くだけなので、屋久島らしい雨の森を楽しむと思って、そんなに落ち込むことはありません。

しっかりレインウェアを着込んでスタートです。

雨音を聞きながら静かに森歩き。実は屋久島の森を雨の中歩くのはちょっと憧れだったりしたのでいい気分です。

大きなヒメシャラや杉の脇を進んでいく。屋久島の森はほかの山の森とは全然違う、独特の雰囲気を持っています。

自然と一体になったこの感じ、心地いい・・・

この日の朝は大雨が降ったので、登山道には水がたくさん流れ込んでいます。靴は早速ビショ濡れ。雨の日は増水に要注意。

淀川小屋に到着。

屋久島にはいわゆる営業小屋は無く、すべて無人の避難小屋です。この淀川小屋も無人小屋なので寝具も無ければ電気もありません。マットと寝袋をもってくる必要があります。

小屋の前にはテント場があります。ここにテントを張るつもりでテントを持ってきましたが、テント場は雨で池のようになっていたため、今回は小屋の中で寝ることにしました。

世界自然遺産の森の中で一泊

電気も飯も出ないけど、こんなに贅沢な事があるだろうか・・・

とりあえず、今日の晩飯に使う水を汲みに小屋の脇の水場へ。水場とか言ってますが、ぶっちゃけただの川ですw

屋久島の水は本当に透明度が高い。どこに流れてる水も本当に綺麗。
こんなに綺麗な水ですが、屋久島の川には魚がほとんどいないのです。実はそれはプランクトンが少ないからで、綺麗過ぎて生物が暮らせないらしいです。

屋久島登山では水には困りません。500mlのペットボトル一本で登っても十分です。その辺の道に流れてる水だって飲めます(笑)

汲んだばかりの屋久島の水で温かいコーヒーを一杯。

美味い・・・美味い・・・美味い!

何でもないただのコーヒーを入れるだけでも楽しいし特別に感じる。それが登山の魅力の一つなのだ。

このとき15:00。まだまだ日が落ちるまでは時間があるので、その辺の写真をとって暇をつぶします。

水も綺麗ですが、コケもまた綺麗なんです。正直言って、屋久島のコケはその他の山のコケよりも段違いで綺麗なので、ぜひその眼で見てほしいです。
何なんでしょうね、この綺麗さは。
木が倒れ、そこにコケが生え、それを苗床にしてまた新しい木が育つ。岩でできた島、屋久島ではコケは重要な役割をしているんですね。

小屋のすぐ近くには橋が架かっていて、その下には淀川が流れている。

この川の透明感は本当に素晴らしくて、屋久島登山の記事見ると必ず紹介されていますね。

そうこうしているとお腹が空いてきたので夕飯の支度です。
今回はアルファ米にビーフシチュー、チキンカレーです。手の込んだ料理はせず、すべてお湯で戻す簡単で軽量な食糧を持ち込みました。

ビーフシチューとカレー、これが想像以上に美味かった。特にビーフシチュー!あれは家で食ってもいい(笑)
米の方も思った以上に普通のお米です。カレーと組み合わせれば十分イケます。

飯を食べて間もなく、日が傾いてきました。
インターネットにもつながらない山の中、日が落ちたらやることないので寝る準備です。
この日小屋に宿泊したのは自分を入れて8人くらい。みなさん18:00には寝ていました。

僕は少し読書をして、19:00くらいには眠りました。

2日目

朝3:30に起床。隣で寝ていた年配のパーティーも出発するようだった。
外は雨が降っている。気温は10℃。
さっさと身支度を整え、午前4:00出発。

あたりは真っ暗。もう本当に真っ暗。一番に小屋を出発したので先行者はいない。たった一人で雨の中、真っ暗な屋久島の森の中を歩く。

流石にちょっと不安な気持ちになりましたね(笑)

1kmごとに道標があるので、それを頼りに進んでいく。道は明瞭なのでライトの明かりだけでも注意して進めば迷うことはない。
暗闇の中、たびたび屋久鹿の目が光る。寂しいので「おはよー」と挨拶をして進む。

暗すぎて写真撮ってないので通過した場所だけ書いておきます。写真は帰りのときに。

5:30 花之江河

ここは開けた湿地なんですが、ライトの明かりも届かない闇の世界でした。なんだかこのままいると自分が闇に飲み込まれるのではないかと思ってしまいそうな、不思議な空間でした。
そんな事を思いながら呑気に羊羹を一つ食べ、先に進む。

標準コースタイムから20分のリード。かなりいいペースだ。

6:00 黒味岳分かれ

実は、当初の計画では永田岳にはいかず黒味岳に登るつもりでした。しかし、天気は悪く眺望もなく、朝焼けも見れなさそうなので黒味岳登頂はやめることに。代わりに天気が回復するであろう昼に永田岳に登頂する事を選びました。

少しだけ空が明るんできたがまだまだ暗い。そんな中でロープ場が登場する。
この登りはチョロいです。ロープを使わずに登る。

やっと空が明るくなってきた。ここまで2時間以上闇の中を歩いてきたので、明るくなっただけでうれしい。

わずかな雲の切れ目から日が見えた。

朝日に木々が照らされる景色がとてもきれいだったのだけど、うまい写真を撮れなかった。こんな写真でなんとなく雰囲気伝わるだろうか・・・

投石湿原を過ぎたあたりから木道が整備されています。一見歩きやすそうに見えますが、雨の日は非常に滑りやすく注意が必要です。

ヤクシマシャクナゲの脇を進んでいく。屋久島固有種の高山植物です。

またロープ場。急な一枚岩を登る。御覧の通りステップ、ホールド皆無なのでロープに体重かけて登るしかありません。テン泊装備の自分には結構大変だった。身軽な人はラクチンでしょう。

事前の天気予報では朝になったら雨が上がるとなっていたのに、一向に雨の上がる気配がない。それどころか森林限界に出たせいで風が強く吹き付けるし、雨も強くなってきた。

「俺はこんな過酷なところに一人できて何をやっているんだ」と思い始める。だけどせっかく来たのだから天候回復を信じて進むしかない。

標高は1800mを越えた。いくつかのピークをトラバースしながらアップダウンを繰り返す。

 九州地方第三位の高峰 栗尾岳(1,867m)に到達。

何も見えない。くりおってひらがなで書くとなんか可愛い。
ここまでくると宮之浦岳まではもう少しだ。

 8:30 宮之浦岳山頂(1,936m)

何も見えない。
ここで、自分のあとから1人登山者が登ってきた。今日初めて登山道で人に会ったのでとても嬉しかった。ドライフルーツをおすそ分けしてもらう。
彼は淀川登山口から登ってきたとのこと。自分と同じくこの先の永田岳を目指すとの事だった。

自分は少し遅れて山頂を出発した。

永田岳に向かって下っていく。急にあたりが明るくなった。まさかと思って宮之浦岳を振り返ると・・・

青空だ!!!

さっきまで酷い天気だったのに嘘みたいだ。よかった、ここまで苦労した甲斐があった!

これから向かう永田岳もガスの中から姿を現してきた。早くあそこまでいきたい!
ここで出会ったパーティーはザックをデポして空身で永田岳に登ったようでした。

もはや藪漕ぎ状態・・・

ここまでの道は非常に整備されていますが、永田岳までの道はそれまでとは一変、かなり荒れています。
御覧のように自分の背丈以上の藪漕ぎゾーンもあります。これでも一応一般登山道です(笑)
登山道は水の通り道になっていて、深く浸食されている箇所がとても多いです。中には2m近く浸食されている部分があり、落ちるとおそらく骨折です。
注意して進む必要があります。

ってか、地図にこんなこと書いてなかったぞw

ビジョ濡れ、泥まみれになりながら進む。
永田岳はそんなにメジャーじゃないのか?

永田岳山頂直下は急勾配が続く。最後はこのようなロープ場。これもホールドが無くてロープに頼って登らざるを得ない・・・

永田岳山頂(1,886m)に到達!

ちょうどガスがかかってしまった。山頂の碑があったんですが、そこまでどうやって行けばいいかわからず、写真とれませんでした。

ちなみにこのとき、一眼レフが撮影できなくなってしまいました。ボディ内が結露したことが原因らしい。

せっかく天気良くなってきてバシバシ絶景を撮ってやるというところでの故障。非常に気分が落ち込む・・・

という事で、上の2枚からは全部iPhone6での撮影です。

永田岳を下山し、再び宮之浦岳に登り返す。この辺は取ってつけたように転がっている岩が特徴的です。それぞれのピークには必ずと言っていい程岩が乗っかっていて、誰かがあとから乗っけたんじゃないかと思ってしまいます。

この岩の一つ一つが、近くでみるとまた大きいのです。

2度目の宮之浦岳山頂

今度はすっきり晴れている!山頂からの景色をご覧ください↓

さっきまで登っていた永田岳。こんなにカッコいい山なんです!
登りたくなるでしょう?

朝は何も見えなかったけどこんな道だったんだなー。気持ちよさそう。

景色のいい山頂でゆっくりしたい気分でしたが、時間も迫っています。軽く補給食を食べて下山開始。

左から 翁岳、安房岳、筑紫岳

この景色、一眼で撮りたかった・・・

翁岳の手前には携帯トイレブースがあり、その後ろにはモアイ像みたいな奇石があります。
僕にはスター・ウォーズのバトルドロイドみたいに見えますがw

この岩、実はゲンコツ岩と呼ばれています。(いました。)
「どこがゲンコツなの!?」
と思うでしょうが、実はこの左隣にもういくつか岩があったのです。それが台風で下に落っこちてしまって、今ではゲンコツの小指と薬指にあたる岩だけが残ったという事のようです。

ネットで調べれば元の形の岩の写真が出てきます。確かにゲンコツの形しています!

行きに通った時には暗闇だった花之江河に戻ってきました。

できればちょっと霧のかかった時に来たかったですね。

花之江河のちょっと先には小花之江河があります。花之江河のミニバージョン。

下山途中の展望台から。目の前に見えるピークを見ながら山頂の景色を思い出す。本当に素晴らしい景色だった・・・今すぐ山頂に引き返したいくらいに

淀川小屋まで戻ってきた。
ここにきて、奇跡的に一眼が復活した。
ここまできたらあともう少し。登山口に向けてラストスパート。

昨日通ったときは川のようになっていたところ。今日は一切水が流れていない。
雨の森と晴れの日の森はこんなに違うもんなんだなー

16:50 ゴールの淀川登山口

無事に日没までに帰ってこれました。

あー終わった終わった・・・なんだかすごい山行だった。

朝は真っ暗闇の中歩き、山頂付近では風雨に見舞われ、かと思ったらスカっと晴れて、そのあと予期せぬ藪漕ぎゾーンがあり、くるぶしくらいまで水に浸かって歩き、急なロープ場も越えた。

約13時間のロングルート、もうお腹いっぱいです(笑)

下山後は里に下りて温泉に入ったのち空港前の駐車場で車中泊。(金が無い)
次の日の朝一の便で鹿児島経由で東京に帰りました。

●まとめ

カメラが壊れてまともに写真撮れなかったことは残念だけれど、それでも晴天の中で絶景を観られたからよかったと思う。そもそも、晴れることが珍しいからね。晴れていなければ写真撮るどころか景色さえ見れないのだから。

考えてみると、今回が初めての単独小屋泊登山だった。テン泊装備で一人で2日間山を歩けた事は大きな自信になったし、ステップアップを確信した。

今回登山した事で、屋久島の主要スポット(縄文杉、雲水郷、宮之浦岳)はコンプリートできた。
でも、すでにまた屋久島に行きたくなっています(笑)
それほど尽きない魅力があの島にはあります。屋久島の森の雰囲気はなんとも言葉で表現できない、身体で感じるものだと思います。山頂の景色も、他とは違う独特な雰囲気があります。

多分再び屋久島に訪れるのはそう遠くありません。次は縦走をして、いままで歩いたルートをもう一度楽しみたいと思う。

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