Camino de Santiago day10 Casanova ~ Arzúa2017年4月24日

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Camino de Santiago  day9  Portomarín ~ Casanova

 


CasanovaからSantiagoまで約61km。20km/日で歩いたとして、今日を入れてあと三日。いよいよクライマックスだ。
とはいっても、特別張り切るわけでもなく今日も淡々と歩くのみだ。
しかし、この日この旅で一番の試練が訪れる事になった・・・


スペインにきてから、朝は霧が出ていて視界がイマイチなのは常であったけど、この日はなんだか様子が違う。
このどんよりした空気は霧ではなく、普通に天気が悪いのだ。

Leonで朝に小雨に降られて以来、ずーっと晴れが続いていたので天気が悪いのが大変珍しく感じる。
2週間以上滞在していれば数日雨が降るのは当然の事。そんな事は十分承知の上で旅に出てるのだけど、晴れに慣れてしまった自分には少し衝撃だった。


寂れた村を淡々と進む。生活感はあるのだけど、人の気配がまったくしない。
スペインに限らず、日本でもツーリングをしてるとそんな感じの村に出会う事がある。確実に人は暮らしているのだけど、なんか死んだ空気が漂ってるようなところ。
青森の五戸で通過した村がそんな感じだったっけ。遠く日本の田舎の景色を思いながら進む。


石畳の上を進む。


程なくしてMelideに到着する。
Portmarinで出会った日本人のケン君が言ってた、タコのおいしい店がある街だ。

できればタコでも食おうかなと思ってたけど午前10時という超微妙な時間帯だったし、店の名前も聞いていなかったのでやめておいた。
今思えばもったいない事をした。無理やりどっかの店に入るべきだった。

“DONDE LA CALIDAD TAMBIEN TIENE PRECIO” 「安くて高品質なお店」って言いたいっぽい。

街には海鮮系のお店が数店舗ある。ガリシアに入るまでは見たことがなかった。
確実に海が近くなっているのを感じる。

ちなみに看板にある”DONDE”は英語でいう”Where”の事。当時スペイン語全然勉強せずにいったけど、これだけは道聞くときに必要だと思って覚えていった。

そういえば、スペインに行くまで、なんとなくヨーロッパの人たちはタコを食べないものと思ってた。なんかアメリカ人もタコは悪魔の使いだとか言ったりするじゃないですか。
でもスペインに来ると、タコ料理というものは割とメジャーで、結構良く食べられているっぽい。
Santiagoに着いたあとタコ料理のお店入ったんですが、これがもう非常においしかったのですよ。まぁ、ゴールした後の事はまた後程書きます。


協会など、石造りの建物は雨に濡れて黒く見える。もともと協会は威厳を感じる建物だけど、雨の日はいつにもまして重厚感がある。


町の端までくると、もう一軒協会があった。協会で作業をしている人に呼び止められ、立ち寄ることにした。


なんと、温かいココアとクッキーを恵んでいただいた。この寒い雨の日に・・・ありがたや

中に入ると、教会の人たちが「マリア様」とか「ロマネスク様式」とか、片言だが日本語で解説(といっても単語だけだけど)をしてくれた。
どうやらいろんな単語を各国の巡礼者からノートに書き留めてもらっていて、教会の単語リストを作っているようだった。

スペイン人はこっちが分からないのもお構いなしにスペイン語でマシンガントークしてくる印象だったんだけど、こういう人たちもいるのだなーと思った。
こういう辛い日に優しくされたことは旅を終えた今でも鮮明に覚えている。どんなに片言でも、異国の地で日本語を聞くのは本当に安心感がある。
まぁ、おっさんにスペイン語でマシンガントークされるのも愉快でいいけどね(笑)酒飲んでりゃわけわかんなくていいし!


Melideiについた辺りから雨が降りだし、街を出るころには雨は本降りになっていた。心を無にして歩く。


長く続く直線。なんの感情もわいてこない。
なんやかんやで、心身ともに疲労が蓄積してたんだと思う。あるいは昨晩のワインが足りなかったか・・・

足を前後に動かす機械となって前に進む。
そろそろコーヒーが飲みたくなってきた と逃げ込んだBARで悲劇が起きる。


これ、ただのミスしてる写真なんですが、

これを撮ったあとカメラが故障し、シャッターが切れなくなりました・・・

カメラはこの旅で、パスポートとクレデンシャルの次に大事なものだ。人生で二度とあるかないかの旅の記録を残す大事な装備だ。
まぁ、なんで故障したかというと雨ざらしにしてたからで完全に僕が悪いだけなんですけど、もうこのときの落ち込みようったら無かった。
今まで登山で結構濡らしても大丈夫だったんだけどなぁ・・・

これからSantiagoに向かおうという大事な時にカメラが使えなくなった精神的ショックは大変大きかった。
(この記事での以後の写真はiPhoneです)

カメラが壊れてから死んだ魚のような表情でなんとか歩き続け、Arzúaに到着した。

 


Portmarineで会った学生の団体もいないようだったので、municipalのアルベルゲに泊まることにした。
よく分からないが、ベッドが満員になるくらい混みあっていた。

僕は宿についてベッドを確保するなりすぐカメラを出してレンズを外し、中身を乾かした。
周りからみたらかなりの変態だったはずだ。その様子は完全にJapanese OTAKUだったに違いない。

夜はピザを食べ、ワインをしこたま飲んだ。カメラの故障から目を背けたかった。
でも結局、この日の足掻きのおかげで翌日にはカメラは復活しました!
この日の歩行距離は23.1km
残り距離は40kmを切った。頑張ればあと一日でSantiagoに到着できる距離だ。

とにかくもう雨は降らないで欲しい。キリスト教じゃないけど、この日だけはめっちゃくちゃイエス様に祈った。

 

Camino de Santiago day11 Arzúa ~ Pedrouzo

 

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