Camino de Santiago  day6  Vega de Valcarce ~ Triacastela2016年10月23日

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Camino de Santiago day5 Camponaraya~Vega de Valcarce

 

山の朝は一段と寒い。他の巡礼者が起きだす早朝に出発する。
Vega de Valcarceから先は2つほど小さな集落があり、その後はすぐに登山道となる。O cebreiroの標高は1300m程度で登りとしては大したことはなさそうだが、雪は確実に残っているので進のが遅くなることも考えられる。山の鉄則である早出早着はCaminoでも同じこと。

まだ薄暗い明け方、誰もいない道を進む。車も通らない。
なんだか寂しくなってきたのでウォークマンを取り出し、 アニメソングをかける。まだ日本を離れて1週間ほどだけど日本語が懐かしい。

 

 

牧歌的な景色が続く。芝は霜で白くなり、朝日をうけてキラキラと輝いている。イヤホンを外して川の音を聞く。奥には雪の残る、これから登る頂が見えてきた。

道標もなんか古くなってきた。

 

 

川のそばに水場があったので水を補給。 凍り付くほど冷たい。

最後の集落を抜け、本格的に登り始める。まぁ、本格的な山という訳ではないので、日本でやってきた登山に比べたらチョロいもんでしょう。

ここから、徒歩の人は登山道に入る。自転車は直進して道路でO cebreiroを目指す。

最初はよく整備された林道という感じ。

程なくして勾配はきつくなるけど岩場もないし歩きやすい 。サクサク登れます。

小さな村を経由。

村を出たところから景色が開けてくる。勾配もゆるくなり気持ちのいいハイキングだ。
O cebreiroはかつて最後の難所と言われていたようだけど、山の上に出てしまえばチョロいもんじゃないか・・・なんて、大昔はこんなに道も整備されてなかっただろうし、それなりに大変だったんだろう。

 

 

 

道は一部農道となっていて、広いところもある。結局、登山道っぽい区間は少しだけだった。

標高1100mくらい。雪が出てくる。道がビチャビチャで靴が汚れる。

途中にある自販機。超厳重な様相。
ここまでしなくてもw と思うのだけど、人の少ないところだし、以前にお金取り出されたりしたのかな。

そういえば、日本以外では自動販売機なんて滅多に無いといわれるけど、スペインは割と置いてある印象でした。 日本ほど多くはないけど。
まぁでも、自動販売機で売っているものはコーラ、ファンタオレンジ、アクエリアスしかないです。他のラインナップはほとんど見ません。

さて、そうこうしているうちに、この旅における大きなチェックポイントが訪れます。
今まではカスティーリャ・イ・レオン州を歩いていましたが、ここからガリシア州に入ります。これからはガリシアを横断していくようなイメージです。

この州境から見える景色がこちら。

 

 

僕がこの旅で忘れられない景色の一つです。なだらかで雄大な景色が大変美しい。ガリシアに入ったことで旅の終わりを少し意識したタイミングでもあったし、そんな思いを持って今まで歩いてきた方角を見ると「ここからは見えない、あの山の向こうから自分の足でここまで歩いてきたのだ」という事を実感した。
なんだかうまく説明できないけど、この州境がとても印象深い。

なんだか登り切ったような気分になるけど、O cebreiroはまだ先。どんどん進んでいきます。

 

道路と合流し、O cebreiroに到着。

思ったよりもにぎやかな場所だ。お土産屋やBAR、レストランがある。観光バスが止まっていたので、ちょっとした観光スポットにもなっているようだ。

巡礼者のために木の杖やトレッキングポールも売られている。

自分はここにきてやっと、巡礼者のシンボルであるホタテ貝の貝殻を買った。お店の人にどこから来たのか聞かれたので、「日本から」と答えると日本国旗とCaminoのマークの入ったバッジをタダでくれた。ありがたいサービス。

このO cebreiroにも教会がある。実はこの教会はフランス人の道では最古の教会である。なんと9世紀に建てられたものだという事。
ヨーロッパでは数百年前の建物とかわんさかあるので古い建物自体は珍しくはないが、さすがに1000年も前のものとなると非常に貴重だ。もちろん、修復は入っているのだろうけど。
大昔の巡礼者も、この教会を目指して山を登ってきたのだ。自分が彼らと同じ道を歩き、同じものを見ているのかと思うと、とても不思議な気分だ。

山の上だが、大変整った街並み。数日前に訪れた山の廃村同然の村、Foncebadonもかつてはこんな感じだったのかな・・・

観光客に話しかけられ、少し会話をする。どこの国から来たのか聞き忘れたけど、英語話してたからスペイン人ではないだろう。
巡礼の要所に観光にきて、ちょうど自分がいたので珍しがられたか。

集落を抜けるとついにガリシアの景色が見えてくる。 こちらも素晴らしい景色だ。

さて、実はO cebreiroは最高地点ではありません。ここからまだ100mほどの標高差を登ります。

本格的に雪道になる。しかし、雪は深くないので、そこまで歩きづらくはなかった。

ところどころ凍ってるところもあるので、足元に気を付けながら丁寧に歩いていく。

 

 

Alto do San Roqueという峠(1270m)に到達する。

ここには帽子を押さえながら歩く巡礼者の像がある。
風に煽られながらも確実に歩みを進める様子なのかな・・・かつての巡礼が困難だったことを感じさせる。
自分の巡礼はどうなのか・・・毎日歩いて、うまい飯くって歩いて、また飯くってワイン飲みまくって寝て、朝起きて歩く。うーん、とても困難な旅とは言えない、むしろ毎日飲んだくれてて楽しんでいる。
世界遺産にCaminoが登録され、宿もしっかりあって、金を持っている巡礼者ばかり。そんな現代では巡礼はそこまで過酷なものには成り得ないのは当たり前かもしれない。そんな中で、この像はかつての過酷な巡礼を現代の巡礼者に思い起こさせる意味を持っているように感じた。

 

 

人もいなくて歩くのにも飽きてきたので気分転換に自撮りなぞしてみる。ピントが合わず・・・

車道歩き。アスファルトの上を歩くのはつらい。

次の集落につくと犬が近寄ってきた。ジド目っぽい表情だが、人懐っこい可愛いヤツだ。きっと自分の事を歓迎してくれたに違いない という事にしておく。

次の集落に向けて歩く。

 

次の集落でもまた犬がすり寄ってきた。温かい 。しばしモフモフして温まる。

モフモフしたあと、犬がこちらを振り返りつつ歩き出す。彼はこの村の案内役なのかな。犬についていく。この先はこの山の最高地点となる。

 

Alto do Poio 1335m
ここが最高地点。ここからは下りとなる。この旅最後の山を越えた。もうこの先に大きな山はない。

さて、この時すでに時刻は15時。そろそろ宿に入っていい時間である。本当はこの辺で泊まろうと思っていたけど、通りがかったアルベルゲは空いていなかった。

確実に開いていそうなアルベルゲはこの先のToriacastelaにありそうだが、 そこまではここから16kmある。ここまで歩いた距離は21kmだったが、この日はなんだか疲れていて、これから16km歩く気分ではなかった。
しかし、アルベルゲが開いてないなら足を進める他選択肢はない。

「どうかToriacastelaの手前で空いてるアルベルゲがありますように!!!」と祈りながらも、Toriacastelaまで歩く可能性を考えて足早に山を下っていく。

 

村で鶏に出会う。スペインは動物が基本放し飼い。もはや何の疑問も感じない。

景色は大変きれいなのだけど、もうこの時にはアルベルゲを探すことしか頭になかった。

今見ればこんな長い直線の道も「いいところだなー」と思うのだけど、早くアルベルゲにつきたい自分からしたらこういう道はイライラの原因でしかなかった。

また犬に出会う。今まで会った犬は人懐っこい犬ばかりだったので、同じノリでこいつにも接したのだが、彼は攻撃的だった。少しの間追い回され、走って逃げたw

道中何件かアルベルゲを見つかるがどれもclosed,closedclosed…CLOSED!!!!もう何という事だろう。
中には明日から営業開始なんてのもあった。日が傾き始めている。焦りが出てくる。
もうここまでくると、Toriacastelaまで歩かなければならないことは確実になった。

急ぎつつも写真を撮ることは忘れなかった。

今日も世界猫歩き

犬に追い回されて走ったブーストのおかげか、18時くらいにはToriacastelaのすぐ手前の集落を通過する。日の入り前の到着を確信した。


空が赤くなり始めたころ、Toriacastelaに到着。
municipalのアルベルゲがあるのでそこに泊まることに。今日殆ど人に会わなかったというのに、このアルベルゲは巡礼者で賑わっていた。

このアルベルゲは4人1部屋、2段ベッドが2つだった。一緒になったのは韓国人とアルゼンチン人とアイルランド人だ。夕食は彼らと一緒に食べに行くことに。

 

最初は4人で食事をしていたが、宿のみんなが次々とやってきて、結局15人くらいの食事会となった。ここに座ってる人、ほとんど全員がそれぞれ違う国の出身だ。アメリカ、マレーシア、イタリア、ロシア、フランス、フィンランド、アルゼンチン、アイルランド、韓国 etc… もう覚えきれないほどいろいろな国の人が集まっている。
「インターナショナルサッカーしようぜ!」とかバカな話をして盛り上がる。酔っぱらってたのであんまり話した内容を覚えていないのだけど、とにかく面白かった。

人生で一番たくさんの国の人と話した一日だった。今まで、「外国人は何を考えているかよくわからない」と心のどこかで思っていたのだけど、この日感じたのは「どの国の人だって、別に普通なんだなぁ」ということ。そりゃ価値観とかは全然違うとは思うけど、彼らは決して自分と異質な存在ではない。なんとなく、そんなことを感じた。

宿に帰りシャワーを浴びる。足の裏が痛いので見てみると、マメがとんでもない大きさに成長していた。これはマズい。潰したら確実に歩けなくなる。

部屋に帰ってマメの様子を確認していると、今日のルームメイトの韓国人(名前はキモ)がよくわからない英語で

「もう潰したか?コンピード持ってるか?」

と言ってくる。コンピード?なんだそれ。
言ってることがわからず、困っていると、彼が一つの絆創膏のようなものを持ってきた。

「コンピード」というのは実は高性能な絆創膏だった。どうやら巡礼者御用達のものらしい。マメができたときはすぐに潰してこれを張っておくと痛みもあまりなく、治りも早いらしい。しかも、2,3日は剥がさずそのままでいい。

これのおかげで、デカいマメを抱えつつもこの先歩くことができた。

僕らの様子を見て、同室のアイルランド人も別の絆創膏をくれた。ありがたい。
今日、一人で山を歩き続けてつらい一日だったので、彼らのやさしさが心に染みた。

この一日は、景色も人も、この旅で一番印象的な一日だった。

この日の歩行距離は37km。最長記録か。
アルベルゲがほとんど閉まっていたのは誤算だったけど、そのおかげでかなり距離は稼げたので、この先の行程はかなり楽になった。
あとは殆ど平地だし、のんびり進んでいこう・・・

 

Camino de Santiago  day7  Triacastela ~ Sarria

 

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