中央アルプス 宝剣岳・木曽駒ヶ岳2015年8月1日

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梅雨が明けたら是非行こうと思っていた山がありました。それが今回登った宝剣岳。
ちょうど暑くなってきたし3000mに近い山に登って涼しくなってやろうというわけです。
あとは自分のステップアップのためという目的がありました。2600mくらいまでロープウェイで行けてしまうので、登山の距離や標高差で言えば日本アルプスでこれほど楽な山はないと思うんですが、ポイントはそこではなく、宝剣岳の岩場の登りです。

山頂近くは高度感のある岩場が続き、「山と高原地図」では点線で示されるバリエーションルートとなっています。よくよくネットで調べてみると点線ルートといっても鎖はしっかりつけられていて、自分の実力でなんとか登れそうだという事がわかりました。ただ、険しい道であることに変わりはなく、間違いなく今まで登ったどの道よりも危険度と難易度は高いので気を引き締めて登山に臨みました。

以下、今回のルートと通過時刻(休憩含む)

ロープウェイ千畳敷駅(6:00)→極楽平(6:30)→宝剣岳(7:20) →宝剣山荘(7:56)→濃ケ池(9:10)→八合目(9:20)→木曽駒ヶ岳山頂(10:27)→中岳(11:06)→宝剣山荘(12:14)→千畳敷駅(12:45)

~前日~

7月25日正午 新宿高速バスターミナルより飯田行のバスに乗る。梅雨明け早々の東京、とんでもない蒸し暑さである。さっさと高原に避難したい・・・

中央道駒ヶ根インターで下車。15:50着。ここから宿まで歩いて向かいます。

なんとなく、長野に行けば涼しいという謎の思い込みがありましたが、駒ヶ根まで来てもやっぱり暑いです。でもこの山の見える長野の雰囲気、とっても好きですよ。

30分ほど歩いて宿に到着。この日お世話になるのは駒ヶ根ユースホステル。目の前には池があったりして、とても良いところにあります。場所柄、家族連れでの利用も多いようです。

ドミトリーの部屋にある寝具のたたみ方の案内。イラストがカワイイ。ペアレントさんが描いたのだろうか。

各ベッドにはコンセントと照明、仕切りがあるので、部屋が消灯しても本を読むこともできるし、充電で他の人とコンセントを争奪することもありません。
夜も涼しくて快適でした。
談話室にはキッチンや冷蔵庫、食器に料理器具あり。食材買ってきて料理することもできます。漫画の品ぞろえもなかなかでした。

このYHのとなりには国民宿舎すずらん荘があり、YHに宿泊していることを伝えるとお風呂を300円で利用する事ができる。

いままで泊まったユースホステルの中でも結構ポイントの高い宿でした。

 ~当日~

駒ヶ根の朝焼け

午前4時に起床。といっても、前日の夜中、ツール・ド・フランスの中継があまりにも面白いレースだったため最後まで見てしまい、その後寝付けず、ほとんど寝ないまま朝を迎えた。

バスでロープウェイまで向かう。バスの始発は5:00で近くのバスターミナルから出ているが、このあたりの宿泊施設に泊まっている人はそれよりも少し早い臨時バスを利用することができる。ユースホステルのお隣のすずらん荘から4:45発のバスに乗ることができ、ロープウェイが混雑する前に一番乗りで千畳敷まで上がれる。

ここ、しらび平は標高1662m。ここから2612mの千畳敷まで1000mを7分という短時間でワープできるというのだからすごい。

5:45着。一気に千畳敷駅まで登り、最初に目に飛び込んでくるのがこの景色である。

千畳敷カール(2612m)

すごい絶景だ!大迫力!なんかもうおなか一杯になってしまったぞ!これを一度生で見たいと思っていたんだ!
しかしここで満足してはいけない。本日最初にして最大の目標である宝剣岳が見えている。写真中央から少し左にある大きなピークが宝剣岳。これからあれに登るのだと思うとワクワクしてくる。

ちなみに反対側の方角を見ると、駒ヶ根の町と南アルプスの名峰たち、そして奥には富士山を望むことができる。いやー最高にいい眺めですな。

ロープウェイの駅に戻って登山届を提出。 軽く腹ごしらえをしていざ出発!

登山口にある駒ヶ岳神社。ここでこの日の無事を祈ります。

ロープウェイがあるのはとても便利ですが、その便利さゆえ、軽装で登山道に入って遭難する人もいるようですね。簡単に来れるから実感がないけどここは2600mの山の上。舐めてかかってはいけません。

まずは中央アルプスの主稜線に出るため、登っていきます。

昨日の寝不足もあり、この標高だと下手すると高山病になるので深呼吸しながらゆったりとしたペースで登っていく。焦らず、一歩一歩地面を足で捉えながらゆっくりと・・・

よく整備された道です。勾配もそんなにキツくありません。

振り返れば南アルプスの山々の姿が。

 

千畳敷からコースタイムぴったりの30分後、極楽平に到着!中央アルプスの主稜線に出ました。ここからは稜線をたどり、宝剣岳山頂を目指します。
しかし、かなりの強風が吹いています。これが3000m級の稜線の世界か。

極楽平からのルートは特に滑落事故が多いようですね。日本トップクラスの数だとか・・・でもその多くは冬期の事故のようなので、夏の事故はそんなには多くないみたいです。

ゴゴゴゴ・・・・だんだん近づいてきたぞ。

三ノ沢分岐に到着。ここまでくると宝剣岳はすぐそこです。

ここから戦闘モードに入りヘルメット装備!・・・と気合を入れたはいいものの、ここから見ただけでもかなりの高度感ですね・・・ここは先行者の姿を追って様子を見たいところ。更に変わらず強風が吹きつけている。風に煽られて落ちるなんてことは・・・

そんな事を考えて待っていても風は止まないし僕より先に登ろうとする登山客も来る気配はありません。 一番早いロープウェイで来たからな・・・

思いきって岩場に取り付きます。

まずは痩せた尾根を通過。ここは全然大丈夫。

最初の鎖。左は切れ落ちているので滑ったら100mくらい滑落して人生終了。ただ、ステップやホールドは沢山あるので見た目ほどの高度感は感じないし、まず落ちることはない。○と×の目印もしっかりついています。ここも割と問題なくクリア。

ここを超えるとこのコースの一番の難所が待ち構えている。

 

 

距離は短いですが、両側が切れ落ちて足場も狭いところを通過します。足1つおけるほどの足場、目下にはさっきまでいた千畳敷・・・

とここで前方から登山者が。まさかこんなところですれ違う訳にいかないので、一つ目の鎖場の最上部まで後退してやり過ごします。結局12人くらいやり過ごす事になり、その間ずっと岩にへばりついていましたw

慎重に進み難所をクリア。とてつもない高度感だった・・・

別の登山者が通過するところを撮影。ほんと、すげえところ通ってきたなw

その後は少し落ち着いて、ガレ場を下っていきます。

また岩登りです。今回は鎖に加えて親切にも黄色い足場がつけてあります。楽々登れます。

次にほぼ垂直の鎖場を降ります。このコース、意外にアップダウンがあります。そう簡単には登らせてくれないか

下ってきた鎖場を離れたところから撮影。それなりに高さはあります。こういうときにビビって岩に身体くっつけてると足元見えなくて余計危ないので、しっかり身体を岩から離して足元を確認しながら降りていきます。この岩場は下りでもそんなに難しくはありませんでした。

ここまで来ると残るは最後の仕上げの登りのみ!

またまた鎖登場。高度感にもちょっと慣れてきました。でも気を抜かず慎重に、三点確保をしっかりとー

山頂で休む人たちの声が聞こえてきた!これが本当に最後の登りだ!!!そして・・・

宝剣岳(標高2931m)登頂!

奥に見える岩の上が本当の頂上ですが風が強いので登るのはやめておきました。まだスタートしてから1時間半くらいしか経ってないけど、目標としていたルートを踏破することが出来てすごく達成感がありました。緊張感からも解放されて本当に清々しい気分でした。
山頂はそんなに広くはないので、あまりゆっくりしていられません。名残惜しいですが下山を開始します。

北側の宝剣山荘にむかって下山をします。このルートも岩場の下降が続きますが、さっきのコースに比べれば優しいです。危険個所は上の写真の部分。左側が切れ落ちていて、岩の狭い足場を通過します。でもとても通りやすかったので全く怖さは感じませんでした。さっきまでの道で高度感に慣れたせいかもしれないけど・・・
前方から団体がやってきて、うち一人が高所恐怖症なのか通過に苦労していたので、すれ違いには時間がかかった。こういうこともあるだろうと思って余裕をもって登山計画立てたので、気長に待ちます。

 

岩場を下りきったところから。かなり人が増えてきました。いいタイミングで登れてよかったー

宝剣山荘も多くの登山者で賑わっています。さすがに天気のいい日曜日、みんな考えることは同じですねー

宝剣山荘からちょっと歩けば木曽駒ヶ岳までいけるのですが、まだまだ時間があるので濃ヶ池を目指して下っていきます。大変なところは終わったし、ここからはのんびりハイキングだー
なんてこのときは思ってました。

 

雪解け水が川を作っています。ところどころ登山道を横切っている。

こんな橋をわたるところも。気持ちのいい道です。宝剣岳や駒ヶ岳までの道は死ぬほど人がいましたけど、こっちの道は人が少なくてとってもいいです。なんてのんびりしていると・・・

 雪渓だ・・・

これはちょっと想定外。すこしは雪も残ってるだろうと思ったけど、まさかここまで長いトラバースをすることになろうとは・・・滑ったら危険なかんじ。軽アイゼン持ってきておくべきだった。

後々調べると、普通に雪渓があるって情報がありました。数日前には滑落事故も起きたそうで・・・

https://www.chuo-alps.com/%E7%99%BB%E5%B1%B1%E9%81%93%E3%80%80%E9%81%8A%E6%AD%A9%E9%81%93%E7%8A%B6%E6%B3%81/

いやー宝剣岳のルートの情報収集に気を取られてこっちの方はあまり見ていませんでした。これはとても反省です。何もないと思い込んでいるところでも、抜かりなく情報をキャッチしておくべきでしたね。
まぁしかし、トレースもついているのでしっかり歩けばアイゼンなしでも問題なく渡れる感じでした。

濃ヶ池までは結局全部で3回の雪渓歩きがありましたが、残りの二つはとても短かったので大丈夫でした。少しヒヤっとしたけど、思わぬ雪渓あるきでちょっと楽しかった。

しばらくすると登山道が川の中を歩くような感じになってくる。濡れないように石の上を選んで歩いていく。

濃ヶ池到着!

この濃ヶ池は数万年前、氷河の底にできた湖の名残で、日本に数か所しかない貴重な場所だそうです。

中央アルプスのカール地形といえば千畳敷カールですが、実はここも濃ヶ池カールというカール地形です。千畳敷カールほどの迫力はないけれど、ここはここで趣のあるいいところです。

数名の登山者が休憩をしていましたが、やはり駒ヶ岳の混雑に比べると格段に人は少ないです。人の多い登山道は落ち着かないという人は是非こちらのルートを選択されると良いと思います。

さて、ここからは再び登り、稜線に出てから木曽駒ヶ岳山頂を目指します。

3000mに近い標高の稜線歩き。日差しも出てきたけど気温は低いし、吹いてくる風も冷たくて最高に気持ちがいい。
ただし、両脇は急斜面なので転ばないように。油断は禁物。

たまに岩も出てきたりして、ちょっとしたスパイスを加えてくれます。

 

木曽駒ヶ岳までの最後の登り。遠くから見ると穏やかな山に見えたけど、最後は岩場の登りなのね・・・

木曽駒ヶ岳(2956m)山頂!

やっと中央アルプスの最高峰にたどり着きました。いい景色ですが、今までの稜線で見えていた景色と変わらないので、改めての感動はないです。

山頂神社と奥には木曽御嶽山。火山灰でてっぺんの方が白くなってます。
あの噴火さえなければ自分も登っていたんだろうか。亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

このあと、中岳まで行って昼食です。水が足りなくなったので駒ヶ岳頂上山荘で水を買いました。
この山行が更に充実したものになるよう、今回はお米まで炊いて頑張ります。

3000m級の山でのコメ炊き。気圧が低いのでいつもより水を多めに入れます。

今回は豪華に肉を持ってきました。朝、冷凍しておいて、凍ったアクエリアスに挟んで持っていきました。冷凍庫から出してから6時間くらい経過していましたが、まだまだ冷たくて大丈夫そうです。夏山でも工夫して持っていけばなんとかイケますねー。お腹壊しませんでしたw

油の代わりに牛脂にを持ってきました。液体の油を持ってくるより軽く、扱いやすいです。
あとは味付けの鶏がらスープの素と、香りづけのための日本酒パック。そしてニンニク。 あとはネギをあらかじめ切って持っていきました。

ネギと豚肉を炒めただけのとても簡単なごはんですが、山の上で肉を食べられるなんてスペシャルな感じですね!
炊いた米の出来は・・・60点くらい。やっぱりちょっと固くなってしまいました。高い山で米を炊くのは難しいですねー。

昼食を楽しんだら、あとは山を下りるだけです。中岳を下り、宝剣山荘を経由し八丁坂を降ります。

さすがの千畳敷から木曽駒までのメインルート。ツアー客が多く、大渋滞が発生していました。

しかし、先を譲ってもらいながら割とスムーズにおりてくることが出来ました。これで登山道は終わり。遊歩道を通ってロープウェイ駅に戻ります。

12:45 ロープウェイ千畳敷駅到着。昼過ぎになると下りのロープウェイが大変混み合います。入口では整理券を配っていました。番号は321番。

1時間50分待ち!!! 

まぁ、正直2時間待ちも覚悟していたので、そんなもんかーという感じです。

待ち時間の間、あまりゆっくり見ていなかった千畳敷カール内の遊歩道を散歩していました。高山植物の写真を撮りながら時間を潰しつつ、この素晴らしい山の世界との別れを惜しみました。

結局ロープウェイに乗れたのは14:50。下りもあっという間でした。朝登った宝剣岳が遠ざかっていくのがとても寂しかったです。しかし、何とも言えぬ満足感で心は満たされていました。
次は空木岳の方からすべて自分の足で登ろうか とか、次に来る時を思いながら帰りのバスに乗り込みました。

ここ最近、登山では雨に見舞われていましたが、今回は文句なしの素晴らしい晴天となって大満足でした。景色は素晴らしいの一言で、正直今まで登った他の山より1段上の感動がありました。たぶんそれは目標としていた山に登れたという事からくる補正もあるのでしょう。山に登るまでの色んな事が、山の景色の感動を作ってくれたと思います。
まだまだ自分の知らない世界があるんだと改めて思わせてくれる山行でした。

さらにハードなルートを通ってみたいという気持ちにもなりましたが、くれぐれも安全には気を付けて山を楽しんでいきたいと思います。

(宝剣岳の山頂ポータルあったので取りましたが、2時間で奪われました。あんなハードなところにあるポータル取る登山系エージェント、結構沢山いるんですね・・・)

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