(2018.4.23 updated)
「重量級機材上等!重さは体力でカバーしろ!」がモットーのNikonフルサイズ機ユーザーの私ですが、実は昨年の夏あたりにCanon PowerShot G7X mark2を買いました。
Nikonでもない!一眼でもない!私のポリシーを完全にぶち壊すものですが、まぁでもやっぱり、軽い機材が役に立つことは多いです。
このカメラ、かなり優秀です。好条件では一眼レフと遜色ない写りだと思います。誇張なしに。
「一眼レフ欲しいけどデカいからちょっと・・・でもボケた写真とか高精細写真撮りたい!」
って思ってる人は間違いなく買いです!
あまりの性能の良さと使い勝手の良さから、一眼レフの使用頻度が少し減ってしまいました 笑
僕は一眼レフのサブ機としてこのカメラを購入したので、「一眼レフと比較して使用感、性能はどのくらいか」という観点も交えつつ、外観から作例、-20℃の極限環境での使用感までガンガン書いていこうと思います。
1.外観
高級感のある重厚な質感
真っ黒なボディーですが、金属っぽい質感があってかなり高級感があります。
シャッターボタンの部分が赤いワンポイントになってるのが非常にかっこいいです。
手に持った感じはずっしりと重く、「身軽なコンデジ」というイメージとは程遠いですが、この重みが安定感をもたらしてくれる気もするし、何よりいいカメラを使ってる感を感じさせてくれます 笑
あらゆる撮り方に対応できるチルト液晶
液晶はチルト液晶となっています。 ローアングルでも大活躍するし、レンズ側に180度ひっくり返るので自撮りにも使えます。
三脚につけて使うときも見やすくて便利ですね。
とにかくかっこいい内臓ストロボ
脇についているスイッチでストロボを取り出すことができます。
正直言ってこの本体付属のストロボは使用機会少ないんですが、この秘密兵器的な感じがめちゃくちゃカッコよくて何度も出し入れしちゃいます 笑
モードダイヤルと露出設定ダイヤル
ボディのトップには電源ボタンとシャッタの他に露出補正ダイヤルとモードダイヤルがついています。
モードダイヤルではM:マニュアル、Av:絞り優先、Tv:シャッタスピード優先、P:プログラムオートなど、一眼レフと同じモード選択をすることができます。
もちろん、状況に合わせて簡単に設定ができるシーンモードにも切り替え可能です。
露出補正のダイヤルが個別で用意されているのは非常に便利です。
コンデジは黒沈みしたり、白飛びしたりということが結構あるので、そのようなときに素早く露出補正できるのはかなり強いです。
中級機一眼レフと同様の操作性を実現するコントロールリング
カメラの設定は、操作パネル側についているコントロールホイールと、レンズについているレンズリングで行います。
コントロールホイールは設定しているモードに合わせた項目を変更できます。例えばAv:絞り優先モードにしている時はF値を設定できるし、Tv:シャッタースピード優先モードにしている時はシャッタースピードを設定できます。
レンズリングは自分の好きな項目を割り当てることができます。ISOやホワイトバランス、ズーム、フォーカスの設定も割り当てられます。
ちなみにこのレンズリングは回す感触を切り替える事ができます。右下の切り替えレバーでクリック感のある回し方とスムーズな回し方の選択ができます。
カメラのコントロールリングが2つあるというのは非常に重要なポイントだと思います。
2つのコントロールリングがある事で2つの設定を同時に素早く変える事ができます。これは実は中級機以上の一眼レフの操作性に相当します。
初級機の一眼レフは通常コントロールダイヤルが一つしかありません。中級機以上になるとこれが2つになります。
この事から、実はG7X mark2はエントリー機の一眼レフを操作性で上回ってるんじゃないの?と思います。
実際、一眼レフを触った後にこのカメラを使っても操作性の面で不便に感じた事は一度もありません。
一眼EOSシリーズを踏襲したメニューデザイン
設定メニュー画面は一眼レフのEOSシリーズと同様のデザイン。Canonの一眼レフユーザーの人は慣れ親しんだ画面だと思うので、すんなりと操作する事ができそうですね。
僕はNikonユーザーですが、EOSの設定メニュー画面は良くまとまってて非常に操作しやすいと思います。それがコンデジでも使えるのはいいですね。
2.作例
G7X markⅱで撮った作例を見ていきます。
なんと言ってもこのカメラの印象は
なんとなく撮った写真でもイイ感じに仕上がる
というものです。
うまく表現できないのですが、色合いとか階調とか、内部の画像処理エンジンでうまく味付けしてくれるらしく、写真をとってからモニターでプレビューを確認したときに「おっ!」となる事がかなり多いです。
ここから書くことは僕の主観なのですが、NikonD750を使ってる時はそういう経験はあまりありません。
というのも、Nikonは結構素直な絵だしをしてくるので、撮ったままのナチュラルな画像が出てくるからです。
Nikonの一眼レフの方はRAW現像を前提として扱っているので、むしろ素直に絵が出てきてくれたほうがいいのですが、コンデジは撮ったその場でSNSにアップすることが多いので、カメラ内部で綺麗に絵作りしてくれた方が助かります。
そのような使い方の上で、G7X mark2の絵作りは本当に良い仕事をしてくれます。
自分が想像した以上の写真が撮れる
そんなカメラだと思います。
3.星空・夜景撮影の実力
(1)星雲まで捉えられる高感度性能
高級コンデジの購入を検討しようとしている人の多くが「星空を撮りたい!」と思っていることでしょう。ボケのある写真と夜景・星空写真は良いカメラだからこそ撮れる写真です。
G7X mark2で星空を撮影した画像が下の写真です。
感度の低いカメラで星を撮ると、画像内にポツポツとしか写らないものですが、G7X mark2では沢山の星をとらえる事ができました。また、天の川までしっかりと捉えられています。これだけローノイズに星や星雲を撮影できる事から、高感度の性能に関しては申し分無い事が分かります。
また感度とは関係ありませんが、後述のMF性能の操作性の高さから星のピントの山をつかむのも容易で、撮影の快適さはかなり高いです。
(2)誰でも星空を撮影できる「星空撮影モード」
星空の撮影はISO, F値, シャッタースピード, フォーカスを全てマニュアルで設定する必要があり、慣れていない人にとっては少し難しいものかもしれません。そんな人のために、G7X mark2では「星空撮影モード」が用意されています。これを使うことで、本来マニュアルで設定するものをカメラが良い感じに設定してくれて、だれでもそれなりに星空の写真を撮影する事ができます。
「それなりに」と書いたのは、マニュアルで撮影したものに比べて少しノイジーな仕上がりになってしまうからです。カメラを始めたての方はまずは星空撮影モードで楽しみつつ、次第にマニュアル撮影を練習して出来るようになっていけばいいと思います。
(3)暗部のディテールを失わない夜景撮影
G7X mark2は裏面照射型の高感度センサーを搭載しており、夜景撮影にも非常に強いです。
上の写真は夜景百選にも選ばれている首都圏随一の撮影スポット、横浜のみなとみらいです。
建物の様子を綺麗に写すためには暗部を持ち上げる必要があります。高感度性能のいいG7X mark2は、暗部も低ノイズで再現し街の夜景も鮮明に写す事ができます。
上の写真は北アルプスの燕岳から安曇野の夜景を撮影したものです。夜景の光は星に比べると光量は多いので感度が高くなくても光を捉える事だけはできます。ここで注目したいのは暗い部分のディテールです。上の写真では町の向こうにある山の稜線の形もくっきりと撮影できています。暗部でも低ノイズに撮影でき、ディテールを失う事なく撮影できる性能を持っており、夜景撮影でも大きな力を発揮します。
夜景を綺麗に撮影できるかどうかは、スマホなど「普通のカメラ」と一眼レフなどの「良いカメラ」の境界線だと思います。
これだけ夜景を綺麗に撮ることができれば、G7X mark2は間違いなく「良いカメラ」の部類に入ります。
4.登山・アウトドアでの使用感
(1)USB充電が可能
特に登山をするときは電源を確保できる場所がないので、電子機器の充電問題は多くの人が悩む事だと思います。
スマホであればモバイルバッテリーを持って行って充電する事が多いですが、このカメラもスマホと同様にUSB充電する事が可能です。
長い縦走登山でもモバイルバッテリーを持っていれば途中で充電できるし、旅行の際では専用の充電器を持っていく必要がなくコンパクトに纏めることができます。
(2)グリップ感が良く持ちやすい
このカメラは”markⅡ”ということで、初代G7Xから変更点があります。その一つがグリップです。以前はまっ平らなボディでしたが、markⅡでは持ちやすいようにグリップが取り付けられました。
登山では岩場でカメラを取り出すことが良くあります。そのようなときに、グリップ感のないカメラだと落とすリスクが高く、カメラを取り出す事を躊躇してしまいます。
このカメラは持ちやすく、不安定な場所でもそのようなストレスを感じる事がありません。
(3)マニュアルフォーカスの操作性がとても良い
アウトドアの定番は山の上での星空撮影や夜景撮影、明け方の撮影です。これらの被写体の照度が低いシチュエーションではオートフォーカスの精度が低く、マニュアルフォーカスを使う事になります。
上の画像はMFモードにした時の画面です。フォーカスの合わせ方は、基本的にまず右上のAFボタンで大まかなフォーカスを決めてから、その下にあるピント調整ボタンで微調整をしていく形です。
MFモードでは自動的に拡大表示になりますが、今画像のどの位置が拡大されているのか、一目でわかります。
表示位置を変えたい時はタッチパネルをスワイプする事で簡単に移動ができます。
ピントあわせのターゲットになる被写体位置までタッチパネルで素早く移動し、ピント調節ボタンで精密にピント調整できるので、星空撮影なども簡単に行う事ができます。
(4)氷点下2桁の極限環境での使用
厳冬期の登山でも使用しているので、その時の動作状況について。
今まで使用した環境の一例を挙げてみます。
- 時期:1月
- 場所:北アルプス 燕岳(2763m) 頂上稜線上
- 気温:マイナス15℃ 体感マイナス20℃
結論から言うと、無風で気温マイナス20℃以上なら動作します。しかし、強い風が吹くと数分で動作しなくなりました。
上の写真は先に書いた登山で早朝に表銀座の縦走路と槍ヶ岳を撮影したものです。この時は気温マイナス15℃くらいでしたが、強い風が吹いていました。
写真を見てわかる通り、画質的に不具合が起きる事はありませんでしたが、この写真を撮った1分後くらいにバッテリー残量不足の表示が出て動作しなくなりました。
やはり、コンデジは一眼レフに比べるとハウジングが薄いので、風が吹くとバッテリーが急激に冷やされて電圧不足を起こします。
と、不安な事ばかり書きましたが、穏やかな気象条件であれば雪山でも十分に使えます。作例でも載せたように、雪山を綺麗に撮れるカメラだと思うので、厳冬期登山のパートナーとしてこのカメラを選択するのも悪くはないと思います。
5.なぜ購入に至ったのか
(1)そもそもは一眼の望遠レンズが欲しかった
広角レンズを手に入れて、喜んで広角レンズばかり使っていました。広角で写真を撮ることは一生飽きないと思うんですけど、撮った写真を眺めてると、どの写真も”THE 広角”なんです。そんな写真ばかりを見てるうちに
「望遠の写真もほしいなー」
という欲が湧いてきました。
一番手っ取り早いのは一眼の望遠レンズを買う事でした。しかし、登山での使用を考えたときに流石に重量が増えすぎると思い、何か良い方法はないかと考えました。
そこで閃いたのは「望遠用カメラとしてコンデジを購入する事」でした。この方法ならば、レンズを交換する事もなく、重量の増加も気になりません。
(2)食事の時など、気軽に撮影できるカメラが欲しかった
旅の記録に、現地で食べた美味しいものの写真は欠かせないものですが、小さなラーメン屋などでバカでかい一眼レフを構えて写真を撮るのは流石の私でも気が引ける行為です。
とは言いつつも今までそれをやってきた訳ですが・・・ 宿について、食事に出かける際に一眼レフを持っていくのが結構面倒に感じていて、気軽にとれるカメラがあればなぁとも思っていました。
でも画質はいいものが欲しい。そうなると、G7Xくらいの価格帯のカメラが必要でした。
6.重さを理由に一眼レフの購入を躊躇している人に薦めたい
一眼レフを使用している僕からしても、G7X markⅡの画質は一眼に劣らないものがあると思います。
さすがに、夜間の撮影でフルサイズの一眼と比べると大きな差は感じますが、薄暗いくらいの環境であれば一眼レフと比べても遜色ない質の写真が撮れると感じています。
加えて、持ちやすさと操作性が非常に良く、F値やISOの設定などは一眼レフと同様の速さで設定する事ができます。
現在の市場価格は約60000円であり、少々高くつきますが、その値段に合う性能は持ち合わせていると思います。
「一眼レフの画質は欲しいけど、重くてデカいのは嫌だ」という方に強くお勧めしたい。
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